お名前:松橋 伊織(まつはし いおり)
卒業年度:平成26年度 (学部卒)
出身分野:応用昆虫学分野
現在の所属:岩手県奥州農業改良普及センター
私は、およそ2万4000人いる岩手県職員の1人です。普段はあまり実感しませんが、例えば日本を代表する民間企業の1つ 「日産自動車株式会社 (従業員数:約2万2000人)」に匹敵するような“巨大組織”の構成員ということになります。当然、職種や業務内容も多岐に渡りますが、私たちの学科の卒業生は主に、①行政(本庁農林水産部・広域振興局農政部)、②試験研究(農業研究センター)、③普及(農業改良普及センター)、④教育(農業大学校)などへ配属されます。私の場合、新採用から3年間は岩手県農業研究センターで野菜害虫の防除技術開発に従事しました。4年目に現所属となる奥州農業改良普及センターへ異動となり、野菜の生産振興に関する業務に携わっています。具体的には、野菜を栽培している農家さんを巡回しながら、安定生産上の課題を把握し、その解決へ向けた支援活動に取り組んでいます。
「昆虫研出身です」というと、大抵の場合“君、虫が好きなの?”と言われますし、実際のところ同室のメンバーには昆虫少年がそのまま大学生になったような風変りな人が多かったように思われます。虫が大好きで、標本制作を含む昆虫採集などを本気の趣味としている人のことを“虫屋(むしや)”といいますが、まさにそのような感じでした。ただし、当の私は残念ながら虫屋ではなく、昆虫に対する感情については、世間一般の方とそう違いないものでした。そんな私も、研究のためにカイコ(絹を生産するガ)を自ら飼育することとなり、エサとなる桑の葉を桑園に取りに行ったり、毎朝・夕方に桑の葉をカイコに給仕したりしたことが、今となっては貴重な経験だったと感じています。 また、卒業研究を取りまとめるためのプロセスとして、現状と課題の把握(s)、研究計画の立案(P)、実験の実施(D)、結果のとりまとめと検討(C)、検討を踏まえた計画の改善(A)という、いわゆるsPDCAサイクルに沿った活動を経験したことは、現在の仕事の仕方にも活きていると思います。
植物生命科学科には、民間企業や公務員などの様々な分野に就職し、ご活躍されている先輩方がいらっしゃいます。業界や職種についての実態は、実際に働いてみないと分からないことが多いかと思いますので、進路に悩んだ時や就活の際などには、是非そのような先輩方に話を聞いてみることをお勧めします。各研究分野の先生方に相談してみると、皆さんの興味がある仕事に就いている先輩を紹介して頂けると思います。“自ら考えて行動すること”は、社会人として働いていく際にも必要な姿勢だと思いますよ!